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ブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・ジャパン ショーンK
editorTop View2006年12月10日 1:37 PM
ITによる情報の有機的な結合を鼓舞するWeb2.0の波。しかし、玉石混交の中から有用な情報を選び活用するための“知恵”が、よりシビアに試されているのもまた事実だ。
1月号では、これからの経営者に求められる“OS力”の重要性についてお聞きした、ショーンKことショーン・マクアードル川上氏を引き続いてお迎えし、2月号では“Web2.0”にフォーカスした内容でインタビューを試みた。
ショーン・マクアードル川上
ブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・ジャパン
代表取締役、マネジング・パートナー
1968年生まれ。ニューヨーク市出身。戦略コンサルティング・ファーム、投信投資顧問会社を経て1996年に東京、ニューヨーク、ミラノ、シンガポール など7都市を拠点とする経営投資コンサルティング会社、ブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・リミテッドを設立、代表となる。コンサルティン グの傍ら、東京のラジオ局81.3FM J-WAVEのビジネス経済番組『大和証券Make IT 21(毎週土曜22:00-22:54)』のパーソナリティを務めるなど、テレビ、ラジオ、講演、執筆などで活躍中。著書に『成功前夜(ソフトバンクパブ リッシング)』など。
ショーンさんがパーソナリティを務めるJ-WAVE『大和証券Make IT 21』はどのような番組ですか?
2000年10月のスタートから7年目を迎えました。スタート当時はJ-WAVE開局10周年という節目の年で、日本経済に元気がない“群衆不景気”のた だ中でした。その時に「これを打開するのは方法論ではないな」という思いを強くしました。成功の法則だとか、勝てるビジネスモデルという次元ではなく、む しろマインドの方を元気づける必要があると。こうした思いを柔らかく伝え、リスナーのモチベーションを高める番組を作りたい。経営者や起業家をお招きし、 苦しかった時や嬉しかった時の話を引き出しながら、それをアウトプットする。それが『大和証券Make IT 21』の基本コンセプトです。テレビや雑誌、Webとも連動した、アントレプレナーのための“ラジオ番組ではないラジオ番組”を目指した放送を続けていま す。
真のアントレプレナーとはどのような方だとお考えですか?
前回(NEXTWISE1月号『CALLING!』掲載)お話した成功する経営者像とも重なる部分がありますが、やはり高い“OS力”を持っている人とい うことになります。専門分野で得た知識や経験を、きちんと汎用性を持った形でアウトプットできる能力が必要となるのです。
人は学歴、経験、知識、技術などさまざまなモノを身に付けていきますが、それらはある種の専門性に過ぎません。誤解を恐れずに言えば、そうした専門技術や 専門知識はいずれ消費財化してしまうものなんですね。つまりそのほとんどが代替可能であるため、長いスパンで見た場合に必ずどこかのタイミングでコストが 下がる。すると“専門性デフレ”が起こり、今まで希少と見なされていた技術や知識が前提的にコンシューマの手に渡っている状態となってしまう。最終的に残 るのはそれを運用できる人たちです。これからの時代も専門性は必要でしょうが、極論するとそれだけでメシを食っていくことは難しいですね。優れたアントレ プレナーはそうした周囲の専門性を生かす能力、つまりはOS力を持っているということにほかなりません。
ところが、今は全体的にインプット過多という知識デフレの状態になっていて、逆に知恵の価値が高騰する知恵インフレになっています。“OS力”という知恵を持つ人には資本が集まりますが、そうでない人はむしろ搾取される側にまわっているのが現状でしょう。
近年話題の“Web2.0”についてどのような思いをお持ちですか?
ロングテール(*1)の考え方は応用すれば組織の改革に使えるのではないかと考えます。パレートの法則(*2)も的を射ていることは確かですが、それは対 象全員を同じ土俵で競わせるという前提からスタートしているんですね。さまざまなくくり方がありますが、人間には変革派、調整派、否定派、指示待ち派など 4種類ぐらいのタイプに分けられます。彼らを同じ土俵で競わせることはナンセンスであるにもかかわらず、大企業に限って、競争による優劣を決め、研究開発 職に営業職をさせたりその逆であったりと、これではスキルが身に着きません。ここでロングテール的な考え方をすれば、変革派に調整派や否定派を付けるなど してチームで動かすことで別の生産性を上げることが可能だと思うのです。
また、最近は日本の企業でも見られるようになった、メールを常に社内オール宛てにする工夫などは、ビジネスという局面でのWeb2.0的現象と言えます。 社員間の話のすべてが全社員に届くシステムであれば「その企画なら、僕にアイデアがあるよ」「その案件なら、私の知り合いのあの人に打診してみようか」と いった具合に、アイデア同士が非常に結び付きやすい。新規事業の立ち上げから軌道に乗るまでのスピードが、従来の何百倍も速くなるそうです。今の会社組織 は稟議書ばかりですが、J-SOX法のにらみもあり、一層稟議ワークフローが増えることでしょう。内部統制上のプロセス管理が、Web2.0の思想と逆行 している状況ですが、3.0以降はこうした部分にも踏み込んだ、真に実のあるIT上の改革が望まれるでしょう。
読者にメッセージをお願いします。
アントレプレナーは起業を志す人だけを指す言葉ではありません。上司に「これをやらせてくれ」と志願するなど、リスクと引き替えに変化を起こそうとする人 もアントレプレナーであり、語義はもともと「現状と理想形のギャップを自分で取り除いていく人」という意味です。従って、OS力とともに、上司や株主に 「これをやらせてほしい」と説得できるコミュニケーション力を持つ人が求められるでしょう。物事を右から左へ伝えるのでなく、伝染するように気持ちが“伝 わる力”を持つ人。それが理想の経営者の形であり、学生の方が目標とすべき部分だと思います。
*1 ロングテールの法則
ロングテールの法則は、パレートの法則の逆を行くものとして、2004年あたりから注目され始めたビジネスモデル。例えば、ECサービスで知られるアマゾ ンにおいては、売れ筋となる十数万件の売り上げ総額より、それ以下の商品の売り上げ総額の方が大きくなりつつある、といった現象を指す。この下位ランク部 分が特に“ロングテール”と呼ばれ、リアル店舗での“死に筋”にあたる商品で売り上げが立ち、しかもリアル店舗と競合しないという、ネットならではのビジ ネス理論の拠り所とされている。また、いわゆるWeb2.0現象の要素の一つとして考えられている。*2 パレートの法則
事象の原因となる構成要素を、生産性が高いセグメント順に左から並べて問題の分析・検討を行う場合に、上のようなグラフを描くことができる場合が多い。こ れによると、最左翼の要因を解決すれば、全体の問題の半分以上を解決することができることになる。発生原因はさまざまであるものの、課題解決に際しての8 割の問題は2割くらいの構成要素によって占められていることが浮かび上がる。これをパレートの法則(2対8の法則)という。パレート分析は、不具合解決や 売り上げ増加など、多様なシーンにおける問題解決の参考とされ“重要なものは一部分にすぎない”という意味でも引き合いに出される。
