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グッデイ 前田青也

editorTop View2005年12月19日 4:52 PM

OpenOffice.org2.0のリリースによりオフィスソフトの業界標準は変わろうとしている。政府機関も推進するオープンソースソフトウェア。
 

普及に必要なものはそろい始めてきた。これまで行われてきたオープンソースの草の根的な活動が、ついに実を結ぼうとしているのかもしれない。今、そ してこれから、さらに必要なものがあるとすれば業界団体の「協調」だろう。今回そのOpenOffice.org2.0をリリースした株式会社グッデイ代 表取締役前田氏に話を聞いた。

前田青也氏(編集部)オープンソース、特にデスクトップのビジネス展開について、どのような戦略をお持ちなのでしょうか?
現在オープンソースのデスクトップビジネスについては、どの企業もまだ成功イメージを持てていない状況です。当社にはゼロからデスクトップアプリケーショ ン作ってきた人間がいます。彼らのノウハウをもとにDebian、OpenOffice.orgといったオープンソースコミュニティと協力しながら、基盤 となるデスクトップを当社がワンストップで提供できるというモデルを作ろうとしています。

既に今年、 OpenOffice.org 2.0をリリースすることができましたので、一通りの材料はそろってきた感はあります。あわせて、オープンソースの草の根的な動きにも力を入れてきまし た。例えば、OSS推進フォーラムや経済産業省の方とのセッションといった活動を積極的に行ってきました。そういった活動が、「業界団体一丸となってオー プンソースを普及していこう」という流れを生んだんじゃないでしょうか。


(編)加速度的にオープンソースを推進していくわけではなく、着実に普及していくということでしょうか?
まずは、「デスクトップビジネスを始める」と宣言するのが今のタイミングです。3年で明確なサービスを提供できる基盤を作り、完全なフローを築きます。 ワールドワイドな連携の中で、オープンソースのデスクトップソフトウェアがマイクロソフトの代替となりうる環境を整えていく、それが私の考えている展開で す。


(編)個人向けのデスクトップを事業の核とするturbolinuxが、先日株式上場されました。このことはLinuxというOS、ひいてはオープンソースのデスクトップ環境が普及されるきっかけになるでしょうか?
デスクトップの環境でオープンソースソフトウェアを普及するために一番のネックになるのは、ハードウェアのベンダーがソフトウェアをプレインストールして くれるかどうかなんです。そしてそれは、顧客のニーズが重要になります。一般のユーザーが「どうしてもLinuxを使いたい」と声を上げてくれるには、ま だ若干の時間が必要だと思います。経済産業省がOSSの活用を推進していますが、そちらでデスクトップ環境が導入される動きがあります。まずはそういった 官の動きが大事だと考えています。官庁が使うようになってくれば、お付き合いのある業者さんなんかも使わざるを得ない状況になるでしょう。それから学校に も普及されていき、そこでようやく使う側からのニーズが上がってくると想定しています。今のところはグッデイがダイレクトにそういった官庁であり、学校で あり、企業でありというところに対して、トータルに環境を提供していこうと思っています。そこで顧客からのニーズが生まれ、メーカーも当社の製品をプレイ ンストールしたハードウェアを販売してくれるようになるのではないかと考えています。 開発者がユーザーの声をダイレクトに反映しながら、一番支持が得ら れるディストリビューションを、グッデイがこれから3年という期間で作っていきたいと思っています。


(編)OSの部分でビジネスをするのではなく、その上のアプリケーションで勝負するというお考えでしょうか?
人材を活かし、成長させて物を作るというのは非常に大事なことです。オープンソースソフトウェアで使いやすいアプリケーションを開発したいというメン バー、そのメンバーを見て、また新たな現場力が増えてきています。その流れを阻害せずに、そのまま活かしていきたいと考えています。たとえば、インター ネットの向こう側にある一番適材のソフトウェアを詰めて出す、これが通常のディストリビューションでワンクッション置くことになります。そうではなく、こ このメンバーがワンストップでユーザーまで届けるライン。直接ユーザーの意見が見える形で、オープンソースソフトウェアを提供していきたいですね。


(編)製品群をturbolinuxにバンドルして一気に普及させる、といった戦略は選択しないのですか?
実際はすでにそうなっています。うちのアウトプットはturbolinuxさんに載って製品として販売されています。しかしオープンソースですので、金銭 的なやりとりは一切ありません。当社が行うのは、使っていただける材料、素材をここで磨き続けることです。うちの素材はturbolinuxさんでも使っ ていただけるし、SUSEさんでも使っていただけます。皆さんが使える源泉としてここに存在しているわけです。


(編)その製品のバックアップサポートなど、包括的な形での提携はあるのでしょうか?
私たちはSUSEさんでもturbolinuxさんでも、さらに他の企業でも、全体で広く使っていただける製品を定義していきたいと考えています。ですか ら、マイクロソフトさんというディストリビューションにオープンソースソフトウェアというもので対抗できる環境づくり、それを排他的ではなくて協調的に行 える土台を提供する企業になりたいのです。今後オープンなものは、自治体や教育現場などでも必要とされてきます。オープンなものの方がニーズとマッチする という環境が徐々に形成されているのです。環境が整備されていけば、一部にターゲットを絞ったものよりも、オープンなものの方がさらに使いやすくなるで しょう。政府や自治体といった公的機関が使い、さらに全体として使う市場が形成されつつあるんです。今すぐにというわけではないですが、成熟した段階では 基盤を支える程の収益性が見込めるモデルですね。


(編)個人の利益よりも大義的なものを大事にしているようにお見受けしています。
現在ノウハウを活用したビジネスを行っています。オープンソースのデスクトップ環境を実際に作っているのはプログラマーです。そのプログラマーが実在でき る場所、継続して食べて行ける場所になりたいという強い思いがあります。「オープンソースのデスクトップ環境の開発はオレたちでやりたいんだ」という人が 存在する場所を作りたいです。どんなディストリビューションでも、彼らの力で提供していけるわけです。ですからその場所さえ確保できれば、あとは大丈夫だ と思っています。

プログラマーのやりたいことをして食べていける、そして彼らの成果物が社会のためになっていく。そうすることで、オープンソースというのもが世間に 認知されていくはずです。様々な業界でよりオープン開発が広まり、特許など様々なものが変化して伸びやかな社会になっていく。そういった発展性のあるモデ ルを作りたいと思っています。


(編)OpenOffice.org2.0のリリースにより、業界標準のオフィスソフトができたと言い切ってしまってもいいのでしょうか?
そう思います。これまではマイクロソフトさんの製品しかありませんでしたが、現在は標準が定まり、対応したアプリケーションがオープンソースソフトウェア でも存在しています。マイクロソフトさんもその流れに乗る方向で検討しているので、そこまでの基盤が整ってきたところにあります。


(編)マイクロソフト自体もOpenOffice.orgと競争しなければならないと感じているでしょう。つまりそれはOpenOffice.orgを認めたということでしょうね。
そう思いますね。一時期、一太郎がシェアのほとんどを占めていた時期がありましたよね。その状況をいつの間にかマイクロソフトさんがひっくり返してしまっ て、一太郎というものから、国際標準としてのマイクロソフトという形勢ができた。日本で強いだけの一太郎から、国際的なワープロソフトとしての Windowsというものが出てきたという形ですね。OpenOffice.orgとマイクロソフトさんの関係は、今またその一つ次のレイヤーになったと いうことなんです。OpenOffice.orgが国際的なものの上で、ライセンス的にオープンなものとして展開していけばと思います。
日本も今、ライセンスオープンなものにカットオーバーする最終的なフェーズにいると思います。今はそういう形でいろいろな政府機関も企業も、そこに向けて切り換えの準備をしている段階だと思います。


(編)最後に今後の取り組みをお聞かせ願えますか? こういった人に参加してほしいというようなことでも構いません。
自由な環境で自らの力を発揮したい人は、道場破りのごとく門を叩いてほしいですね。そこで自分の住処を見つけられれば、オープンな世界でインターネットの 国際的な競争力を持つ一人として自分を位置づけることができるでしょう。そういうオープンな場所で自分の力を測りたい、存在できるようになりたいという向 上心を持つ方は、一回接触していただきたいと思います。そういった人たちの集まりによって、基盤を維持したいという思いがありますから。