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SBIアクサ生命 木村真輔代表取締役社長インタビュー ~産声を上げたネット専業生保の可能性~

kikaku企業スコープ2008年07月23日 9:52 AM

2008年4月7日より営業を開始し、インターネット完結型の生命保険『カチッと定期』と医療保険『カチッと医療』を展開しているSBIアクサ生命保険株式会社。同社の木村真輔代表取締役社長に、ネット専業生保市場の可能性についてお話を伺った。

木村 真輔
SBIアクサ生命保険株式会社
代表取締役社長

1991年 株式会社三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)に入社。2000年 SBIグループ入社。ファイナンス・オール株式会社 執行役員、SBI生保設立準備株式会社 代表取締役社長などを経て、2008年3月 SBIアクサ生命保険株式会社 代表取締役社長に就任。休日はご家族で出掛けることが多く、青空のもとで体を動かすことを心がけているとのこと。

ネット専業生保のメリットは「安さ」と「利便性」

編集:国内初のネット専業生命保険としてスタートしたSBIアクサ生命の木村代表取締役社長にお話を伺います。御社の保険商品の特長は何でしょうか?

木村:ネット専業生保だからこそのメリットとも言えますが、保険料が非常に安いこと、そしてネット完結の手軽さと利便性を挙げることができます。

編集:想定されているターゲットは?

木村:20代~50代のネットリテラシーも保険リテラシーも高めの方々になります。保険商品を自らの判断で買う。対人による保険商品の説明を受けた上で購入するという方々ではありません。

編集:保険商品の乗り換えを模索している方々ということになるのでしょうか。

木村:それは両方が言えます。30代40代のすでに保険に加入されている方々は、更新ごとに保険料が上がる仕組みとなっていますから、見直しを考えられています。また一方で、全体的に保険への加入率が落ちている20代前半の方々もターゲットとなります。

編集:やはり今年の5月からスタートしたライフネット生命とは、競合ということになるのでしょうか?

木村:よく比較されますが、最初から終わりまでネットのみで完結できるのは弊社独自です。同業他社ではありますが、業界自体が生まれたばかりですから、今は市場を一緒に広げているような感覚ですね。

編集:ネット専業生保は「ありそうでなかった」という感想を持つのですが、登場時期が両社で重なったのは興味深いですね。

木村:市場の読みが偶然一致したものだと思いますが、ネット専業の証券や銀行、自動車保険が出る中で、そろそろかなという業界の雰囲気はありましたね。それから背景の一つですが、2年前の付加保険料の自由化も挙げられます。

編集:付加保険料ですか???

木村:保険料は純保険料と付加保険料の2つのパートに分けられます。純保険料は保険金として支払う部分、付加保険料は保険事業の運営にかかる人件費やシステム費などを充当する部分になります。それまで金融庁の認可が必要だった付加保険料を、各社で決めてよいことになりました。つまり保険料の価格勝負を挑めるようになったわけです。ネット専業生保に道を開いた自由化策とも言えるものでした。

生命保険に営業職員が要らない!?

編集:営業職員を置かない「生命保険」には、何か不思議な印象を受けます。

木村:営業職員の案内で加入するお客様層のシェアは、既存の大手生保の独壇場です。我々がここに打って出ても仕方がない。その一方で、営業職員が介在しなくても、ネットによる情報収集だけで購買を決めるお客様層も確実にありますから、我々が攻めるのはこの部分になります。営業職員を置かないことで人件費も浮きますし、バックエンド・オペレーションは完全にシステム化できますから運用コストも下がります。また、ネット完結なので24時間いつもで保険登録が可能となります。営業の不在を保険料と利便性でカバーする形ですね。

編集:サービスのスピード化も図れそうですね。

木村:その通りです。営業説明というワンクッションがありません。また、紙資料も発生せず、研修教育にもコストがかからないというメリットもあります。ただ、営業がいない分、どうしてもプッシュ型の戦略がとりにくい。そのため、商品に関しては保険のプロも納得するような良いモノだけをそろえ、コールセンターを置くなどお客様サポートも充実させています。

編集:ネット専業生保の特徴の一つかもしれませんが、商品の構成が非常にシンプルですね。

木村:2007年は保険金不払いのニュースで業界は持ちきりでした。その原因は、商品が特約に次ぐ特約で複雑化し、お客様も事業者側も商品を理解しきれなくなったことにあります。SBIアクサ生命の商品は「お亡くなりになったらいくら」「入院をされたらいくら」というシンプルさを重視し、不払いが起こりにくい仕組みとなっています。

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SBIアクサ生命のWebサイト(http://www.sbi-axa.co.jp/)。ネットで完結する生命保険としての「分かりやすさ」が特に強調されている。

ブレークスルーのポイントと今後の展望

編集:業界初を成功させたブレークスルーのポイントとは何でしょうか?

木村:ネット専業生保を運営する上でまず課題となるのは「本人確認」です。「本人確認」はクレジットカード会社など、他の金融機関が確認した情報を流用することでカバーできるようになりました。ただ、本人確認のないクレジットカードも存在します。将来的には、銀行による本人確認が流用できる口座振替のサービスを視野に入れていきたいと考えています。そしてもう一つの課題が加入希望者の「健康確認」ですが、申込に際してのネットの手続画面上で、健康範囲の質問にクリックまたは入力していただくことで完了する『クリック告知』という方法をとっています。これにより、告知書等の書面への記入・郵送の必要がなくなりました。

編集:大手の参入に関してはいかがお考えですか?

木村:既存の大手生保は営業職員という太いチャネルを持っていますから、ネットへ参入することで二つのチャネルが自社内で競合し合う可能性があります。また、ネット生保のお客様にとっての一番のメリットは「安さ」ですから、もとより高い保険料が獲得できている大手が、価格水準を落として参入してくることは考えにくいでしょう。既存大手よりはむしろ、新規組がネット生保に参入する可能性があります。

編集:ネット専業生保が今後生き残っていくポイントとは?

木村:まずは保険料をいかに抑えるか。それとともに新商品/新サービスをいかに投入できるかです。ネット専業生保は、国内初の事業だけに成功事例がありません。向こう5年で保有契約20万件を目標として設定しています。決して低くないハードルですが、トライアル・アンド・エラーで自分たちでやり方を模索し、確立していくことが重要だと考えています。